住宅ローン返済中でも家を売る方法と注意点
- 株式会社ホームルームパートナー
- 10月7日
- 読了時間: 16分

▶︎1. 住宅ローン返済中でも家を売ることはできる?基本の仕組みとポイント

1.1 住宅ローンと抵当権の仕組みを理解しよう
住宅ローンを組んで家を購入した場合、多くの方が気づかないうちに「抵当権」というものが設定されています。これは、金融機関がローンの返済を確実にするために、不動産に対して担保権を持つ制度のことです。
抵当権が設定された状態では、家を自由に売却することはできません。 なぜなら、所有者が変わっても抵当権はそのまま残るため、買主にとってリスクがあるからです。つまり、買主が住宅を手に入れても、前の持ち主のローンの影響を受けてしまう可能性があるということです。
住宅ローンが残っている状態で家を売るには、この「抵当権を抹消すること」が大前提になります。
とはいえ、すべてのローンを完済しないと売れないというわけではありません。抵当権は、以下のような方法で抹消できます。
たとえばこんな手段があります。
売却によって得た代金で、ローンを一括返済する
売却価格よりローン残高が上回る場合は、不足分を自己資金で補う
金融機関と交渉し、任意売却として認めてもらう
ここで重要なのは、「いくらで売れるのか」と「残債はいくらか」という2点です。 この差が、売却成功の鍵を握っています。
まずは「抵当権が抹消できるか」が、住宅ローン返済中に家を売るための出発点です。
1.2 ローンが残っていても家を売る条件とは
「住宅ローンが残っていても、家は売れるの?」 この疑問は多くの方が最初に抱くものです。結論から言うと、住宅ローンの残債があっても家を売ることは可能です。ただし、いくつかの条件を満たす必要があります。
住宅ローン返済中に家を売るには、次の3つのいずれかの条件をクリアすることが基本です。
たとえばこんな条件があります。
売却価格がローン残債以上である
→売却代金で住宅ローンを完済できれば、抵当権も抹消できます。
売却価格が残債より低い場合、不足分を自己資金で補える
→自己資金を使ってローン残高をすべて返せれば問題ありません。
金融機関が任意売却を認めている
→自己資金の持ち出しが難しい場合でも、金融機関の合意があれば売却可能になります。
住宅ローン返済中に家を売るには、ローン残高と売却価格のバランスをしっかり見極めることが不可欠です。
売却をスムーズに進めるには、事前の情報収集と準備がとても重要です。特に注意したいのが、次のような失敗例です。
1.3 売却価格と住宅ローン残債のバランスがカギ
住宅ローン返済中に家を売るとき、最も重要なのが「売却価格」と「ローン残債」のバランスです。 この2つの金額がどうかみ合うかによって、売却の進め方や必要な準備が大きく変わります。
たとえば、現在のローン残高が2,400万円で、家を2,800万円で売却できれば、売却代金でローンを完済し、抵当権もスムーズに抹消できます。 しかし、逆に2,200万円でしか売れなければ、差額の200万円を自己資金で補わなければいけません。
こうした状況を整理すると、大きく3つのパターンに分けられます。
主なバランスのパターンはこちらです。
売却価格 > ローン残債
→完済が可能。売却益が残るケースもあります。
売却価格 = ローン残債
→完済は可能ですが、手元に現金は残りません。
売却価格 < ローン残債(オーバーローン)
→自己資金の持ち出しや、任意売却が必要です。
このバランス次第で、売却後に「損をするかどうか」や「資金繰りが可能かどうか」が決まります。
売却価格は市場の相場や物件の状態に左右されるため、自分で予想するのは危険です。 プロの不動産会社に無料査定を依頼して、現実的な価格帯を知ることが第一歩です。
一方で、住宅ローンの残高はローン会社の「返済予定表」や「残高証明書」で確認できます。 この数字は、日々の返済や金利により変動するため、できるだけ直近のものを確認するようにしましょう。
▶︎2. 住宅ローン返済中に家を売るときの具体的な流れと手順

2.1 最初にやるべきことは残債の確認と金融機関への相談
住宅ローン返済中に家を売る場合、最初にやるべきことは「住宅ローンの残高を正確に把握すること」と「金融機関に相談すること」です。 ここを曖昧にしたまま売却の話を進めると、後々トラブルや資金不足に悩まされる原因になります。
まず、住宅ローンの残高を確認する方法は2つあります。
確認方法はこちらです。
ローン契約時にもらった「返済予定表」を見る
金融機関に「残高証明書」や「現在残債額の照会」を依頼する
返済予定表には、元金・利息・残高の推移が記載されていますが、繰上返済などをしている場合は、予定表の金額と実際の残高が異なることもあります。そのため、最新の情報を金融機関から直接取り寄せるのが確実です。
住宅ローンの残高が分かったら、次は金融機関に売却を検討していることを伝えましょう。ここでのポイントは、抵当権の取り扱いと、ローン完済の見込みについて事前に調整しておくことです。
金融機関への相談は、住宅を売るうえで絶対に避けて通れないステップです。
特に、オーバーローン(売却価格がローン残債を下回る状態)の場合、事前相談なく売却を進めることはできません。 任意売却を希望する場合も、銀行や保証会社の同意が必要で、債務整理や自己破産とは異なる手続きが求められます。
ありがちな注意点を見ておきましょう。
査定価格だけを見て「売れる」と思い込み、金融機関に相談していなかった
→査定価格はあくまで目安。実際の売却価格は交渉や市場状況に左右されます。
オーバーローンなのに、自己資金でカバーできると過信してしまった
→売却時に必要な費用(仲介手数料・登記費用など)も含めて計算が必要です。
金融機関とのやりとりを後回しにして売却が遅れた
→事前に承認を得ておかないと、売却のタイミングを逃すリスクがあります。
たとえば、金融機関に相談せずに売却活動を始めてしまい、買い手が見つかっても抵当権の解除ができず、契約が白紙に戻ってしまう…というケースもあります。これは売主にも買主にも大きなストレスになります。
スムーズに売却を進めるためには、「資金状況の把握」と「銀行との調整」をしっかり行うことが何よりも大事です。
2.2 抵当権を外すために必要な手続きと注意点
住宅ローン返済中に家を売るとき、避けて通れないのが「抵当権の抹消手続き」です。 抵当権とは、金融機関が貸したお金を回収するために設定する担保権のこと。売却するには、この抵当権を必ず外さなければなりません。
抵当権が残っているままでは、買主が住宅を取得しても、金融機関の担保付き物件として扱われてしまいます。 そのため、買主が購入をためらう原因になり、売却自体が成立しなくなることもあります。
抵当権を外すための基本的な方法は次のとおりです。
抵当権の抹消に必要な手続き
売却代金でローンを一括返済する
→決済日(引き渡し日)に売却代金を使ってローンを完済します。
金融機関から「抵当権抹消に必要な書類」を受け取る
→抹消登記に必要な「解除証書」「登記識別情報」などを渡されます。
司法書士に依頼して登記を行う
→売主または買主のどちらかが司法書士を通じて法務局に登記申請を行います。
住宅ローン返済中の不動産を売却するには、必ず抵当権の抹消が必要です。
手続き自体は複雑ではありませんが、売却と同時に行われるため、スケジュールの管理がとても大事になります。 金融機関や司法書士、不動産会社との連携がうまくいかないと、決済日にトラブルが発生することもあります。
抵当権抹消に関して、特に注意すべき点を見ておきましょう。
ローン返済が完了していないのに抹消を進めようとした
→完済が確認されないと金融機関は抹消書類を発行しません。
必要書類の準備が間に合わなかった
→登記手続きは書類の不備があると当日中に完了しない場合があります。
誰が司法書士を手配するかを決めていなかった
→売主・買主どちらが依頼するかは早めに確認しておきましょう。
日常でたとえるなら、車のローンが残っている状態で名義変更をしようとするようなものです。 担保として設定されている以上、それを解除しなければ、新しい所有者に引き継ぐことができません。
売却をスムーズに進めるためには、抵当権の抹消手続きを正しく理解し、事前準備を万全に整えておくことが不可欠です。
2.3 売却活動から契約成立までのスケジュール感
住宅ローン返済中に家を売る際、売却活動から契約成立までには、いくつかのステップと適切なタイミングがあります。 特に、住宅ローンが残っている場合は、スケジュール管理を間違えると大きなトラブルに発展することもあるので、全体の流れを把握しておくことが大切です。
一般的なスケジュールの流れは次のようになります。
売却活動の流れ(目安)
不動産会社へ査定を依頼(1週間〜)
媒介契約を締結(専任媒介などを選択)
販売活動の開始(ポータルサイト掲載・内覧対応など/1〜3ヶ月)
購入希望者からの申込と価格交渉(数日〜2週間)
売買契約を締結
決済・引き渡し(売買契約後1ヶ月前後)
このように、売却活動から契約・引き渡しまでの期間は、スムーズに進んでもおおよそ2〜4ヶ月程度かかるのが一般的です。
住宅ローン返済中の売却では、このスケジュールを金融機関とのやりとりや抵当権抹消と合わせて進める必要があります。
スケジュール管理でよくあるトラブルも見ておきましょう。
内覧対応の準備が間に合わず、売却開始が遅れた
→居住中の売却は特に計画的な準備が必要です。
買主との価格交渉が長引いて契約が遅れた
→価格の柔軟な設定と事前の交渉戦略がポイントです。
引き渡し日と金融機関の決済日がずれてしまった
→銀行や司法書士とのスケジュール調整は早めに行いましょう。
たとえば、引っ越しの準備が間に合っておらず、引き渡し日を延期せざるを得なくなると、買主との信頼関係に影響を及ぼすことがあります。 また、住宅ローンの完済が間に合わないと、抵当権の抹消手続きにも支障が出るため、売買契約と決済日の管理は非常に重要です。
家の売却は、思っている以上に「人との調整」が多く発生します。売主、買主、不動産会社、金融機関、司法書士が関わるため、全体の進行をコントロールすることが売却成功のカギになります。
▶︎3. 住宅ローン返済中に家を売る際によくある失敗と注意点

3.1 オーバーローンの場合の選択肢と対処法
売却価格より住宅ローンの残高が多い「オーバーローン」の状態では、そのままでは家を売ることができません。ただし、以下のような選択肢で対応が可能です。
主な対処法はこちらです。
自己資金で不足分を補う
→手元資金があれば最もスムーズな方法です。
任意売却を検討する
→金融機関の同意を得て、ローン残債を調整しながら売却します。
住み替えローンを利用する
→買い替え先の物件に旧ローン残債を組み込めるケースもあります。
家計の見直し・追加融資の検討
→不足分の一部を新たに借り入れる方法もあります。
オーバーローンでもあきらめる必要はありません。早めに金融機関や専門会社へ相談することが、損を最小限に抑える第一歩です。
3.2 ローン滞納によるリスクとその回避策
住宅ローンを滞納すると、家を売るどころか「競売」のリスクが発生します。滞納が続けば、信用情報に傷がつき、将来的な借入にも悪影響を及ぼします。
よくあるリスクと対策はこちらです。
信用情報のブラックリストに登録される
→クレジットカードや住宅ローンの審査に通らなくなります。
競売開始で市場価格より安く売却される
→通常の売却より数百万円安くなることもあります。
家族の生活環境が急変する
→突然の立ち退きで精神的・物理的負担が大きくなります。
滞納前や初期段階であれば、任意売却やリスケジュールの相談が可能です。 「少し支払いが厳しい」と感じたら、迷わず金融機関や専門業者に相談しましょう。
3.3 家を売るタイミングと新居取得の調整が難しい理由
住宅ローン返済中に家を売る場合、「売却と購入のタイミング調整」が大きな課題になります。段取りを誤ると、仮住まいの費用や二重ローンのリスクが発生します。
よくある悩みと難しさはこちらです。
売却が先だと住む場所が一時的にない
→仮住まい費用や引っ越し回数が増える原因になります。
購入が先だとローンが二重にのしかかる
→収入に対する借入額が大きくなり、審査に通りにくくなります。
引き渡し日の調整が複雑になりやすい
→売主・買主・金融機関のスケジュールがずれることも。
この問題を避けるためには、不動産会社と密に連携し、売却と購入を一括でサポートしてもらうのが安心です。
▶︎4. 住宅ローン返済中に家を売るときにかかる費用や税金のリアル
4.1 仲介手数料・登記費用など売却にかかる基本コスト
住宅ローン返済中に家を売る際は、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。さまざまな費用が差し引かれるため、事前に把握しておくことが大切です。
主な売却コストはこちらです。
仲介手数料
→一般的には「売却価格の3.3%+6.6万円(税込)」が上限。※ただし定額制の業者もあり。
登記費用(抵当権抹消)
→司法書士への依頼料含めて1〜3万円ほどかかります。
印紙税
→売買契約書に貼る印紙代で、金額は売却価格により変動します(例:2,000〜30,000円程度)。
測量・リフォーム費など(必要な場合)
→状況によって追加費用が発生することもあります。
費用の目安を事前に確認し、売却後に「思ったより手元に残らない」とならないように準備しましょう。
4.2 固定資産税や譲渡所得税はどうなる?
住宅を売却すると、仲介手数料などのほかに「税金」も関係してきます。特に見落としがちなのが、固定資産税の精算と譲渡所得税です。
主に発生する税金と対応はこちらです。
固定資産税の清算
→年単位でかかる税金を、売買契約時に日割りで買主と精算します。
都市計画税の清算
→固定資産税と同様、地域によってかかる場合があります。
譲渡所得税(利益が出た場合のみ課税)
→購入時より高く売れた場合、その差額に税金がかかります。ただし特例もあり。
3,000万円特別控除などの特例
→マイホーム売却で利益が出ても、要件を満たせば非課税にできる場合があります。
特に譲渡所得税は、利益が出た場合にしかかからないため「申告が不要」と思い込まず、税理士や不動産会社に確認することが大事です。
4.3 抵当権抹消費用や引っ越し費用まで見落とさないように
家を売るときの費用で見落としがちなのが、「抵当権抹消費用」と「引っ越し費用」です。どちらも売却に直接関係するため、あらかじめ予算に組み込んでおくことが必要です。
特に注意すべき費用はこちらです。
抵当権抹消費用(登記関連)
→登録免許税は1件1,000円程度ですが、司法書士の報酬込みで1〜3万円かかるのが一般的です。
引っ越し費用
→家族構成や引っ越し距離によっては10〜30万円前後かかるケースもあります。
不要品処分・ハウスクリーニング
→室内をきれいに保つための費用も見逃せません。
売却にかかる費用は仲介手数料だけではなく、こうした“細かいけれど必要な出費”も多いため、トータルでの資金計画が重要です。
▶︎5. 住宅ローン返済中に家を売るなら知っておきたい現実的な対策
5.1 オーバーローンを回避する買取や保証サービスの活用
住宅ローンの残債が売却価格を上回るオーバーローンのリスクがある場合は、買取や保証サービスを活用することでスムーズに問題を解消できることがあります。
活用できる主なサービスはこちらです。
不動産会社による買取
→相場よりやや安くなりますが、すぐに現金化でき、内覧などの手間が省けます。
買取保証付きの仲介サービス
→一定期間内に売れなければ事前に決めた価格で買い取ってもらえるため安心です。
任意売却支援サービス
→金融機関と連携して、残債がある状態でも売却可能にする支援制度です。
買取専門の業者と連携する不動産会社を選ぶ
→幅広い提案ができる業者なら、オーバーローンの不安にも対応しやすいです。
早く売却したい、残債のリスクを減らしたい場合は、こうした仕組みを積極的に検討してみるのがおすすめです。
5.2 住み替えローンで家の売却と購入をスムーズに
住宅ローン返済中に家を売って新居へ住み替える場合、「住み替えローン」を活用することで、売却と購入を同時に進めやすくなります。
住み替えローンの主な特徴はこちらです。
旧居のローン残債を新居のローンにまとめられる
→売却価格よりローンが残っていても、新たな住宅ローンで一括管理できます。
新居購入のタイミングを逃さずに済む
→「先に買ってから売る」流れが可能になり、仮住まいの必要もありません。
ローン審査がやや厳しめになる傾向あり
→収入や信用情報に加え、売却計画の現実性もチェックされます。
利用には金融機関の取扱可否を要確認
→すべての銀行が対応しているわけではないため、事前の情報収集が重要です。
買い替えを前提に売却を考えるなら、住み替えローンは現実的な選択肢のひとつです。早めに不動産会社と相談して進めましょう。
5.3 自己資金が足りないときの対応策と準備方法
住宅ローン返済中に家を売る際、オーバーローンや諸費用の支払いに自己資金が足りないと、売却のハードルが一気に上がります。そんなときは、次のような対策で乗り切ることが可能です。
よく使われる対応策はこちらです。
親族や家族からの一時的な借入
→無利子や柔軟な返済条件で対応できることがあります。
フリーローン・カードローンを活用する
→急ぎの費用をカバーする選択肢。ただし金利や返済計画に注意が必要です。
売却価格を再検討し、交渉の幅を広げる
→多少価格を下げても、早期売却で結果的に損を抑えられる場合があります。
リフォームや不要品整理で物件の印象を上げる
→少しの手間で売却価格アップにつながることもあります。
自己資金が不足しそうな場合は、焦らず複数の選択肢を比較し、信頼できる不動産会社と一緒にプランを立てるのが安心です。
▶︎6. 住宅ローン返済中の家の売却を安心して進めるために
住宅ローン返済中に家を売る場合、通常の売却とは異なる注意点が多数あります。トラブルなくスムーズに進めるためには、全体の流れとポイントを押さえておくことが重要です。
ここまでの内容をまとめると、次の点が特に大切です。
売却前にローン残高と売却相場を正確に把握する
→売却が可能かどうかは、残債と価格の差で決まります。
金融機関との相談を最優先で行う
→抵当権の抹消や任意売却は、銀行の同意が必要です。
オーバーローンの場合の対策を事前に考える
→自己資金・住み替えローン・買取保証などを検討しましょう。
売却と購入のタイミング調整に注意する
→仮住まいや二重ローンのリスクを避けるには早めの計画が必要です。
大きな失敗を防ぐためには、1人で抱え込まず、信頼できる専門家と一緒に進めることが何より大切です。
▶︎住宅ローン返済中の家の売却はホームルームパートナーにお任せください
住宅ローン返済中でも安心して家を売却できるよう、無料相談から契約完了までしっかりサポートします。オーバーローンや任意売却にも対応可能です。
まずは無料相談で現状を整理し、最適な売却プランをご提案します。安心して売却を進めたい方はこちらから。


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